研究会の歩み

秋田県緩和ケア研究会は、秋田県緩和医療研究会として、がん患者の全病期におけるQOL改善のために緩和医療に関する研究を行い、その実践と教育に貢献することを目的として設立され、2000年7月に第1回研究会を開催しました。

緩和医療や緩和ケアの重要性の啓発と一般市民の認識の広まりに伴い、2007年4月にはがん対策基本法が施行されました。基本法に示されている早期からの緩和ケアの実践、地域の連携協力体制の整備、医療従事者への研修などを本県において実現していくためには、現場で実践し、秋田県の実情を理解している本研究会会員が積極的に関わっていくべきであるとの認識をもちました。同年、研究会の名称を秋田県緩和医療研究会から秋田県緩和ケア研究会に改めましたが、これは医療の枠にこだわらず、より広範に患者家族を支援する「ケア」の視点に立って研究会活動を展開していくことを意図したものです。

秋田県緩和ケア研究会は年2回の定期学術集会を開催しています。それに加えて、医療や介護の専門職に対する緩和ケアの教育研修や、一般市民への啓発活動などを行うとともに、各医療機関が主催する緩和ケア研修会にも積極的に協力しています。

これらの活動の中で、緩和ケア実地研修は、2008年から秋田県の委託事業として開始された全国的にもユニークな取り組みです。この研修では、秋田県内の緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、訪問診療、訪問看護の診療活動に参加し、実践的な研修を受けることを通して緩和ケアの理解を深め、緩和ケアの発展に貢献する医療者を育成することを目的としており、毎年、多くの参加者があります。
本研究会は、今後とも秋田県における緩和ケアの量的、質的な向上に取り組んでいきます。

秋田県緩和ケア研究会前副会長 嘉藤茂(外旭川病院ホスピス長)

秋田県緩和ケア研究会春季例会特別講演一覧

 開催年月日講師演題
第1回2000.7.11柏木哲夫
大阪大学人間科学部教授
ホスピスと緩和医療
第3回2001.6.16志真泰夫
国立がんセンター東病院緩和ケア病棟医長
わが国における緩和医療の現状とこれから:がん疼痛治療を中心に
第5回2002.4.20村田久行
東海大学健康科学部教授
スピリチュアルケアの理論と実際
第7回2003.4.19高宮有介
昭和大学横浜市北部病院メンタルケアセンター緩和ケア科
一般病院における緩和ケアの実践
第9回2004.4.17田村恵子
淀川キリスト教病院主任看護課長
ケアの本質を考える~ホスピスでの実践を通して~
第11回2005.4.16磯崎千枝子
上尾甦生病院ホスピス医療ソーシャルワーカー
ホスピスにおけるナラティブアプローチ:MSWの視点から
第13回2006.6.17岡部 健
岡部医院院長
在宅ホスピスケアの現状と未来
第15回2007.4.21清水哲郎
東京大学大学院人文社会系研究科教授
尊厳ある最後の生を支えるために
第17回2008.6. 7武井麻子
日本赤十字看護大学教授
緩和ケアと感情労働
第19回2009.5. 9会員によるパネルディスカッション緩和ケアチームの現状と課題
第21回2010.4. 3柏木哲夫
金城学院大学学長・淀川キリスト教病院名誉ホスピス長
ホスピス緩和ケアの基本概念:チームアプローチの理論と実際
第23回2011.6. 4白井教子
北里大学病院リエゾン精神専門看護師
がん患者の精神的反応における倫理的諸問題とケア
第25回2012.5.19小澤竹俊
めぐみ在宅クリニック院長
どんな私たちであればよい援助者になれるのか
第27回2013.4.20塩田剛士
坪井病院相談支援センター
緩和ケアにおけるソーシャルワーカーの役割:坪井病院での実践
第29回2014.4.26安部能成
千葉県立保健医療大学健康科学部准教授
がん緩和ケアにおけるリハビリテーション・アプローチ
第31回2015.4.25萬田緑平
緩和ケア診療所いっぽ
最後まで目一杯生きる
第33回  2016.5.14大沢かおり
NPO法人 Hope Tree代表
東京共済病院 がん相談支援センター
がんになった親と子どものサポート ~どう伝え、どう支えるのか~
第35回2017.4.29大坂 巌
静岡県立静岡がんセンター 緩和医療科 部長
不易流行のがん疼痛治療
第36回2018.4.28進藤 伸一
秋田大学名誉教授
イギリスとインドのホスピスが教えてくれたこと
第38回2019.5.11川上 嘉明
東京有明医療大学看護学部看護学研究科 教授
虚弱高齢者における看取りの時期の見立てとケアのマネジメント ‐ 自然死の看取りケア ‐
第40回2023.5.20柏木哲夫
淀川キリスト教病院名誉ホスピス長、大阪大学名誉教授
ホスピス・わが人生